大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

宇都宮地方裁判所栃木支部 昭和47年(ワ)120号 判決 1974年6月04日

原告

玉井ゆり子

ほか四名

被告

柏屋商事株式会社

ほか二名

主文

第一  被告柏屋商事株式会社は、原告玉井ゆり子に対し金一、六八四、二八三円、原告玉井和実、同玉井克彦および同玉井知弘に対し金一、一二二、八五一円、原告玉井まさのに対し金二〇〇、〇〇〇円、被告高橋忠一および同嘉藤悦男は各自、原告玉井ゆり子に対し金一、七六四、二八三円、原告玉井和実、同玉井克彦および同玉井知弘に対し各金一、一七六、一八八円、原告玉井まさのに対し金二〇〇、〇〇〇円、ならびに原告玉井ゆり子に対する右金員のうち金二〇〇、〇〇〇円に対する昭和四九年六月五日から、その余の各金員に対する弁済期経過後である被告柏屋商事株式会社および同嘉藤悦男については昭和四七年一二月五日から、被告高橋忠一については同月六日から各完済に至るまで、年五分の割合による金員を支払え。

第二  原告らのその余の各請求をいずれも棄却する。

第三  訴訟費用は、これを二分し、その一を原告らの負担とし、その余を被告らの連帯負担とする。

第四  この判決は、原告ら勝訴の部分に限り、仮にこれを執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告らは各自、原告玉井ゆり子に対し金三、八五〇、〇〇〇円、原告玉井和実、同玉井克彦および同玉井知弘に対し各金二、三一〇、〇〇〇円、原告玉井まさのに対し金二二〇、〇〇〇円、ならびに右各金員に対する被告柏屋商事株式会社および同嘉藤悦男については昭和四七年一二月五日から、被告高橋忠一については同月六日から各完済に至るまで、年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告らの負担とする。

3  仮執行宣言。

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告らの請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求の原因

1  事故の発生

訴外玉井藤雄(大正一五年一一月二五日生、四五歳、男性、薬局店経営、以下単に訴外藤雄という。)は次の交通事故によつて死亡した。

(1) 発生時 昭和四七年四月七日午後〇時一〇分ごろ

(2) 発生地 栃木県下都賀郡藤岡町大字大前三、五一五番地先路上

(3) 加害車両 被告嘉藤運転の登録番号栃一一さ一七一二の大型貨物自動車(以下単に被告車という。)

(4) 被害車両 訴外藤雄運転の登録番号栃五五ね七九〇四の普通乗用車(以下単に原告車という。)

(5) 事故の態様 原告車の右側面に被告車の前部が衝突

(6) 死因 頭蓋底骨折

(7) 死亡時刻 昭和四七年四月七日

2  権利の承継その他

原告玉井ゆり子(以下単に原告ゆり子と称する。以下同様。)は、訴外藤雄の妻であり、原告和実、同克彦および同知弘はその子である。原告まさのはその母である。

訴外藤雄の死亡により、原告ゆり子、同和実、同克彦および同知弘は、民法所定の法定相続分に従つて、訴外藤雄の損害賠償請求権を相続した。

3  責任原因

被告柏屋商事株式会社(以下単に被告会社という。)は、被告車を所有して被告高橋に貸与し、または、同被告に被告車の買受名義および強制保険加入名義を貸与し、同被告は主として被告会社の土砂の運搬を業としていたのであるから、被告会社には自己のために被告車を運行の用に供していた者としての責任がある。

被告高橋は被告車を被告嘉藤に運転させて、被告会社の砂利運搬業務を行なつていたものであり、第一次的には被告会社と並んで重畳的に自賠法第三条の責任を、しからずとするも本件事故はその業務執行中、後記過失によつて発生したものであるから、民法第七一五条の使用者としての責任を負う。

被告嘉藤は、進路前方の安全注意義務違反等のため、転回中の被害者の発見が遅れた本件事故を発生させたのであるから、民法第七〇九条の過失がある。

車両損害については、被告高橋は民法第七一五条の責任を、被告会社についても、本件採取砂利の運搬はその業務の範囲に属し、被告嘉藤に対する指揮監督権を有するから、重畳的に民法第七一五条の責任を負う。

4  損害額

(1) 訴外藤雄の損害

(イ) 逸失利益 金一八、五八八、一八八円

訴外藤雄は昭和二六年ごろから原告住所地において薬局を経営するかたわら、薬の卸売業を行ない、その所得は事故の前年度の昭和四六年度において金一、八二〇、二三〇円であつた(すなわち、同年度の収入は金四〇、二五六、七八三円であり、仕入高、従業員給料、専従者手当等の経費は金三八、四三六、五五三円である。)。

そして、今後とも少くとも右金額の収入は継続して得ることができたものである。

ところで、同人はその労働の内容からいつて本件事故がなければ、少くとも六五歳まで、すなわち本件事故後なお二〇年間は稼働し得たものである。

同人の生活費は、その同居の家族状況(妻ゆり子、次男克彦、三男知弘、母まさの)からみて、経験則上その収入の四分の一と判断すべきである。

以上のとおりであるので、ホフマン式計算法によつて中間利息を控除すると、逸失利益は金一八、五八八、一八八円となる。

(ロ) 車両損害

原告車は、ダツトサン四六年型、六一〇WTK型であるが、訴外藤雄が栃木日産自動車販売株式会社より金八一〇、〇〇〇円で、昭和四六年一二月一〇日買い受けたものであり、本件事故によつて大破して使用不能となつた。

本件事故時まで四カ月足らずしか使用しておらず、その損害は金七〇〇、〇〇〇円を下らない。

(2) 原告ゆり子の固有の損害金一、八〇〇、〇〇〇円

(イ) 葬儀費用 金三〇〇、〇〇〇円

(ロ) 慰藉料 金一、五〇〇、〇〇〇円

最愛の夫であり、一家の大黒柱である訴外藤雄を失つた精神的打撃は大きく、その慰藉料は少く見積つても金一、五〇〇、〇〇〇円を下らない。

(3) 原告和実、同克彦および同知弘の慰藉料 各金一、〇〇〇、〇〇〇円

(4) 原告まさのの慰藉料 金三〇〇、〇〇〇円

(5) 訴外藤雄の逸失利益等の相続

同訴外人の死亡により、同人の逸失利益および車両損害の賠償請求権を同人の妻原告ゆり子が三分の一、子である原告和実、同克彦および同知弘が各九分の二宛相続したから、これを右固有の損害と合わせると、合計次のとおりとなる。

原告ゆり子 金八、二二九、三九六円

原告和実、同克彦および同知弘 各金五、二八六、二六四円

原告まさの 金三〇〇、〇〇〇円

なお、慰藉料について、相続構成をとる場合には、右(2)ないし(4)の範囲で相続を主張する。

5  損害の填補

自賠責保険金として、原告ゆり子は金二、〇〇〇、〇〇〇円、原告和実、同克彦および同知弘は各金一、〇〇〇、〇〇〇円を受領した。

6  弁護士費用

被告らは、その代理人を通じて強制保険金以上の支払義務はない。また、被告会社については責任原因がないといつて任意の支払に応じないので、やむなく原告らは、原告訴訟代理人両名に本件賠償金の訴訟追行を委任せざるを得なかつた。そして、原告らは原告代理人らに対し、着手金三〇〇、〇〇〇円、報酬として取得金額の一〇パーセントを各支払う旨約定した。これらは、本件交通事故と相当因果関係にある損害というべく、このうち少くとも被告らは合計金一、〇〇〇、〇〇〇円を賠償すべきである。右金額の分担は請求額に応じているので、原告ゆり子のそれは金三五〇、〇〇〇円、原告和実、同克彦および同知弘のそれは各金二一〇、〇〇〇円、原告まさののそれは金二〇、〇〇〇円である。

7  よつて被告ら各自に対して右損害金のうち、原告ゆり子は金三、八五〇、〇〇〇円、原告和実、同克彦および同知弘は各金二、三一〇、〇〇〇円、原告まさのは金二二〇、〇〇〇円、ならびに右各金員に対し弁済期経過後である被告会社および被告嘉藤については昭和四七年一二月五日から、被告高橋については同月六日から各完済に至るまで、年五分の割合による金員を支払え。

二  請求の原因に対する認否

1  請求の原因1および2の各事実は認める。

2  同3の事実のうち、被告会社が被告高橋に対し被告車の買受および強制保険加入名義を貸与した事実を認めるがその余の事実を否認する。右名義貸与は、被告高橋に信用がなかつたため、被告会社がやむを得ずなしたものである。自動車割賦代金および保険料の支払は事実上被告高橋が行なつている。同被告の営む土砂購入および運送依頼先は被告会社に限らず、他の業者もあり、被告会社は運行につき指揮することなく、運行日程なども全く関与できなかつた。自動車の燃料および修理費などは被告高橋において出費していたもので、運行の支配も利益も被告会社に存しなかつた。

3  同4の事実は知らない。訴外藤雄の逸失利益計算の基礎として、昭和四六年の同人の所得金一、八二〇、二三〇円を用いるのは、右金額は家族従業員の寄与率を控除しておらず、また同人の営業は承継されて営まれているのであるから不合理である。

4  同5の事実のうち、原告らが自賠責保険金合計金五、〇〇〇、〇〇〇円を受領したことは認めるが、その余は不知。

5  同6の事実は否認する。

三  過失相殺の主張

本件事故は、道路側端に駐車中の原告車が発進、右折の方向指示器を点滅することなく突如道路中央に進出し、方向転換(いわゆるユーターン)しようとしたので、その後方を同一方向に進行していた被告車はこれを避けることができなかつたもので、訴外藤雄の後方確認および方向指示を欠いた過失に基くものである。

四  過失相殺の主張に対する原告らの認否否認。

第三証拠〔略〕

理由

第一本件事故の発生および権利の承継等について

請求の原因1および2記載の各事実について、当事者間に争いはない。

第二被告らの責任原因について

〔証拠略〕を総合すると次の事実が認められる。

訴外藤雄は原告車に乗車し、前記本件事故現場道路西側端において原告車を北へ向けて停車させていたが、方向転換(いわゆるユーターン)すべく、右へ方向指示器を上げて発進し、右折しながら道路中央部へ進出しようとした。被告嘉藤は被告車を運転し、南から北へ向かつて約六五キロメートル毎時の速度で前記道路中央寄りを進行し、本件事故現場へ差しかかつた。本件事故現場附近の見通しは良好であり、被告嘉藤はかなり手前から原告車が進路前方左側端に停車しているのを認めたものの、その右脇を通過すべくそのまま進行した。ところが、原告車の手前約三〇メートルの地点に接近した時、被告嘉藤は原告車が右へ方向指示器を上げたのを認めた。このような場合、当然原告車が右折し、道路中央部へ進出することが予想されるのであるから、被告嘉藤としては被告車を減速徐行させ、原告車の動静を十分確認しながら進行すべき注意義務があるのに、これを怠たり、被告車を多少道路中央に寄せ、警音器を数回吹鳴したのみで、漫然前記速度のまま進行した過失により、自車進路直前に迫まつて初めて原告車が右折しながら道路中央部に進出して来たのに気付き急制動をかけたが及ばず、自車前部を原告車右側ボデーに激突せしめたものである。

右認定に反する被告嘉藤悦男本人の供述は採用しない。そうすると、本件事故は被告嘉藤の進路前方の安全確認義務を怠つた過失により発生したということができる。

〔証拠略〕によると、被告高橋は被告車を所有し、自己のために運行の用に供しており、また、その営む砂利運搬業のために被告嘉藤を使用していたところ、被告嘉藤が右事業の執行中、本件事故を起したものであることが認められる。

被告会社が、被告高橋が被告車を購入するに際し、同被告には信用がないので買受人名義を貸与し、強制保険加入名義も同様貸与したことについては、当事者間に争いがない。そして、〔証拠略〕によれば次の事実が認められる。すなわち、

被告会社は、砂利採取、運搬および販売業等を営んでいるが、右運搬の業務は大部分運送業者に依頼している。被告高橋も右運送業者の一人であるが、同被告にとつて、自己の運送業務の大部分は被告会社のそれであり、したがつて収入の大部分も被告会社から支払われる運送賃である。被告高橋が使用する自動車は被告車だけであり、被告車の運転席ドアーには被告会社の表示がなされている(被告会社出入りの運送業者が使用している大部分の自動車に、右同様被告会社の表示がなされており、右運送業者は被告会社の商号に由来して「柏屋グループ」と称している。)。被告高橋が他の仕事のため被告会社の砂利運搬に従事できないときは、被告会社に事前に連絡している。本件事故も被告会社の砂利を運搬して作業現場に届けて帰る途中に発生した。

以上の事実に照らすと、被告会社は被告車につき運行の支配および利益を有し、これを自己のために運行の用に供していたものということができる。

しかしながら、被告会社が被告嘉藤を使用していたとの原告ら主張の事実を認めるに足りる証拠はない。

第三過失相殺

前記のように、本件事故は被告嘉藤の過失によつて発生したものであるが、原告車を運転していた訴外藤雄にも不注意があつたことは否定できない。すなわち、

〔証拠略〕を総合すると、次の事実が認められるのである。

本件事故現場の道路は、アスフアルト舗装で車の交通量は多い。本件事故発生時は小雨が降り始めて間もない頃で非常にスリツプし易い状況にあつた。道路の幅員は約七・四メートルであり、さして広くない。右のような道路の状況のもとで、被告車がかなりの速度で自車の約三〇メートル後方まで進行して来ていたのに拘らず、その動向に留意することなく、訴外藤雄は道路西側端に停車させていた原告車を方向転換させるべく、漫然右折を開始し、車体が道路とほぼ直角になる程度に道路中央附近まで進出し、被告車の進路を遮つて、これと衝突したものである。

原告車を転回させる際に払うべき後方からの進行車両の安全確認義務を怠たつた訴外藤雄の右過失も損害賠償金算定にあたつて、充分斟酌されなければならない。被告嘉藤の前記過失、訴外藤雄の右過失および原告車と被告車との前記車種の相違等に鑑みると、原告側と被告側の過失の割合は、前者が六割、後者が四割とみるのが相当である。

第四損害額について

一  訴外藤雄の損害賠償請求権とその相続

1  逸失利益

〔証拠略〕を総合すれば、訴外藤雄はかねてより薬種商を営んでおり、家族従業員への手当等を控除した昭和四六年一月一日から同年一二月三一日までの純益は金一、八二〇、二三〇円であつたこと(同人の営業が原告和実らの努力により継続しているからといつて、訴外藤雄の逸失利益がなくなる訳ではない。)、および本件事故がなければ同人は少くとも六八歳まで、すなわち本件事故後なお二三年間は稼働し得たであろうことが認められる。そして、同人の生活費はその家族状況からみて収入の三分の一とみるのが相当である。

そこで、ホフマン式計算法によつて、年五分の割合による中間利息を控除すると、訴外藤雄の逸失利益の現価額は金一八、二五七、一二五円となる。

2  車両損害

〔証拠略〕によれば、訴外藤雄は昭和四六年一二月一〇日原告車を代金八一〇、〇〇〇円で購入し、本件事故まで約四カ月間使用したが、本件事故により大破したことが認められる。右車両損害は金六〇〇、〇〇〇円とみられる。

そうすると、訴外藤雄の被告高橋および同嘉藤に対する本件事故に基づく損害賠償請求金額は合計金一八、八五七、一二五円である。そこで、前記過失の割合に鑑みると右被告らが負担すべき損害額は右のうち金七、五四二、八五〇円であり、被告会社が負担すべきそれは金七、三〇二、八五〇円である。そして、訴外藤雄の死亡により、同人の妻である原告ゆり子、子である原告和実、同克彦および同知弘が民法所定の相続分に従つて、訴外藤雄の権利を承継したことは、前記のように当事者間に争いがなく、民法所定の相続分は同人の妻である原告ゆり子が三分の一、子である原告和実、同克彦および同知弘が各九分の二宛であることは明らかであるから、訴外藤雄の被告高橋および同嘉藤に対する損害賠償請求権につき、原告ゆり子は金二、五一四、二八三円、原告和実、同克彦および同知弘は各金一、六七六、一八八円宛相続したこととなり、被告会社に対するそれにつき、原告ゆり子は金二、四三四、二八三円、原告和実、同克彦および同知弘は金一、六二二、八五一円宛相続したこととなる。

二  原告ら固有の損害額

1  葬儀費用

原告玉井ゆり子本人の供述によれば、訴外藤雄の葬儀費用として、香典返し金八〇〇、〇〇〇円を含めて金一、二〇〇、〇〇〇円ないし一、三〇〇、〇〇〇円要し、これを原告ゆり子が支出したことが認められる。前記過失の割合を斟酌すると、右費用のうち金一五〇、〇〇〇円を被告らが負担するのが相当である。

2  慰藉料

原告ゆり子が訴外藤雄の妻、原告和実、同克彦および同知弘がその子、原告まさのがその母であることは、前記のように当事者間に争いがなく、〔証拠略〕によれば、それぞれ最愛の夫、父ないし子であり、一家の大黒柱である訴外藤雄を失つた精神的打撃は大きいことおよび被告高橋が訴外藤雄の葬儀に参列し被告会社から香典を供えたことが認められ、これらの事実と本件事故の態様、加害者および被害者の各過失等に鑑みると、慰藉料としては、原告ゆり子が金八〇〇、〇〇〇円、原告和実、同克彦および同知弘が各金五〇〇、〇〇〇円、原告まさのが金二〇〇、〇〇〇円が相当である。

第五損害の填補

原告らが自賠責保険金合計金五、〇〇〇、〇〇〇円受領したことは、当事者間に争いがなく、〔証拠略〕によれば、うち金二、〇〇〇、〇〇〇円を原告ゆり子が、うち金一、〇〇〇、〇〇〇円を原告和実、同克彦および同知弘がそれぞれ受領したことが認められる。そこで、原告らの被告らに対する前記各損害賠償請求権からこれを控除すると、原告ゆり子については合計金一、四六四、二八三円、原告和実、同克彦および同知弘については各金一、一七六、一八八円となる。

第六弁護士費用

〔証拠略〕によれば、被告らが原告らに対し、本件事故による損害賠償金を任意に支払わないので、やむなく原告ゆり子は原告ら訴訟代理人を選任したものであるが、弁護士費用として着手金三〇〇、〇〇〇円を支払い、報酬として支払額の一割を支払うことを約している事実が認められる。そこで、本件事故の難易、示談交渉の経緯および認容額等に鑑み、被告らは原告ゆり子に対し、右弁護士費用のうち金三〇〇、〇〇〇円を支払うべきである。

第七結論

そうすると、原告らの被告らに対する本訴各請求は、被告会社に対し、原告ゆり子が金一、六八四、二八三円、原告和実、同克彦および同知弘が金一、一二二、八五一円、原告まさのが金二〇〇、〇〇〇円、被告高橋および同嘉藤各自に対し、原告ゆり子が金一、七六四、二八三円、原告和実、同克彦および同知弘が各金一、一七六、一八八円、原告まさのが金二〇〇、〇〇〇円、ならびに原告ゆり子の右金員のうち弁護士報酬金二〇〇、〇〇〇円に対する本判決言渡の翌日である昭和四九年六月五日から、その余の各金員に対する弁済期経過後である被告会社および同嘉藤については昭和四七年一二月五日から、被告高橋については同月六日から各完済に至るまで、民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において正当であるから、その範囲内においてこれを認容し、その余は失当として棄却し、訴訟費用の負担については、民事訴訟法第八九条、第九二条本文、第九三条第一項但書を、仮執行の宣言については同法第一九六条第一項を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 和田忠義)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例